連載『エンゲージメントの技術』Vol3

返報性のルール(譲り合い)

「ご一緒にポテトはいかがですか?」ハンバーガーチェーン店で誰もが聞いたことのあるメッセージです。
これは、商品を購入した顧客にさらに違う商品を売ることで客単価を上げる「クロスセル」という営業テクニックです。
先日、わが家の洗濯機が異音を発するようになり、買い替えることにしました。
近くの家電量販店に出向き、割安の洗濯機を選びました。
そのとき、自分に言い聞かせていたことがあります。
「店員の誘惑に負けるな!」です。
15 年以上使っていた洗濯機が壊れる家庭では、冷蔵庫やエアコンなどの耐久消費財も寿命に近づいているはず。
ここは「クロスセル」で仕掛けてみよう。
店員がそう考え、「お客様。
ご家庭のほかの家電の調子はいかがですか?今、洗濯機とご一緒に寿命の近づいたエアコンなどを買い替えられますと表示価格からさらに20%引きになります。
いかがですか?」などと誘われれば、きっと「お買い得なエアコンはどれ?」と誘いに乗ってしまいます。
幸いにも、店員からの誘惑はなく、洗濯機だけを買うことで済ませることができました。
仮に「エアコンの買い替えはいかがですか?」と聞かれ、それを断ったとしても、「それでは、お求めやすい扇風機はいかがですか?エアコンとの併用で快適にお過ごしいただけますよ」などと誘われれば、店に行くまでは買おうとも思わなかった扇風機を買い求めてしまっていたでしょう。
これは「返報性のルール」の「譲り合い」というテクニックです。
店員が売り込もうとする商品をエアコンという高額商品から扇風機という低価格の商品に譲歩したことで、こちらはその譲歩にお返しをしなくてはいけないと考えてしまうものです。
「相手が拒否したら譲歩」。
買い手にとっては悩ましいテクニックです。
訪問販売でもしばしば活用されています。
「新聞を購読しませんか?」「お断りします」「それでは、他に新聞を購読するお知り合いの方をご紹介いただけませんか?」「それなら近所に・・・」相手が要求を拒否したら、譲歩して小さな要求に替えて再アプローチすることで、効果が表れるようです。

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