景気回復で業績は好転しますか?

全国商工会連合会が今年3月に経営指導員を対象に実施した「小規模企業景気動向調査」 によれば、地方の小売業、サービス業の経営状況は「わずかに改善している」としています が、景気回復を実感していない声も多く聞かれます。

調査を受けた経営指導員は、「先行き不安から食料品などの必要なもの以外、買い控え感 が強い。どこも安売りする時間帯、ディスカウント日には多くの消費者が詰めかけている」 (石川県志賀町商工会)、「食料品関連の小規模な小売業者は地区内外の大型スーパーやド ラックストア等との競争の激しさが続いており、客数や売上の減少等により業績も悪化傾 向である」(青森県大畑町商工会)、「地域において大手コンビニがこの数年で3倍近くまで 増えており、一般小売業者では売上の減少が止まらない状況になっている」(鳥取県米子日 吉津商工会)とコメントしています。 こうしたコメントからも分かるように、地方の小規模の小売業者やサービス業者は、大型 スーパーやコンビニエンスストアとの競争が激しくなっており、景気回復によって個人消 費が伸びてきたとしても、消費者から選ばれる商売をしていない限り、経営の改善は難しい と言えるでしょう。 帝国データバンクが同年3月に全国約1万社を調べた「2017年度の業績見通し」で は、全体では「増収」が 44・1%、「増益」が 35・1%、「増収増益」が 27・6%の見通し となっています。 従業員数別でみると、1000人を超える大企業は「増収」が 56・6%、「増益」が 45%、 「増収増益」41・1%と全体より高くなっていますが、5人以下の小規模企業では「増収」 は 38・4%、「増益」が 31・7%、「増収増益」が 24・8%といずれも全体を下回っていま す。 これは「個人消費の回復」が進んでいるにもかかわらず、それを享受しているのは規模の 大きい企業ばかりで、規模の小さい企業は追い風に乗れていないということかもしれませ ん。

景気がまだ十分に回復しておらず、さらに上向いて来れば、いずれ小規模の事業者にも影 響が及び、「個人消費の回復」を実感できるようになるのであれば、それは良い傾向です。 ただ、それは本当に期待できるのでしょうか。 帝国データバンクによる同調査の業績見通しの「上振れ材料」には「個人消費の回復」 (36・8%)、「所得の増加」(21・7%)、「雇用の改善」(16・6%)が挙がっています。 一方、「下振れ材料」には「個人消費の一段の低迷」(35・5%)、「人手不足」(30・6%)、 「所得の減少」(25・3%)と、「上振れ材料」とは真逆の実態が表れています。 同じ経済状況にあっても、「個人消費の回復」や「雇用の改善」に手応えを感じている企
業とそう感じていない企業があるということは、その事業構造に違いがあるとも言えます。

「お客さんは減るばかりで増えない」「働く人が集まらない」のは景気によるものではなく、その事業者によるものだとすれば、経営を改善する必要があります。 そのことに気付くことができなければ、いつまでも「景気が良くなれば業績は回復する」 と絵空事を言い続け、経営改善は手遅れになってしまいます。 誰に、何を、どのように提供し、何でどれくらい儲けるのか。今一度、自店の事業構造を 見直すことが重要です。

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